今月のお話
今月のお話
作成日:2016/03/01
『あいさつ』のちから



 先日の朝礼は、あるスタッフが顧問先を訪問して伺った話が心に残ったというお話でした。それをまとめてもらいました。

◆朝礼スピーチより

私たちは、幼少期から、家庭で、学校で、「元気にあいさつをしましょう!」と躾けられ、教えられてきた。しかし、なぜ、あいさつが大切なのか。その明確な答えを知らないままに教えられてきたように思う。

先日、既に第一線を退いた元中小企業の役員(Yさん)から、『あいさつ』に関するこんなエピソードを伺った。

Yさんが勤めていた会社は、本社のほかに支店及び事業部を持っていた。その事業部(工場)で、設立当時の黒字経営から一転、あるときを境に何億円という赤字を数年間計上し続けているA工場があった。社内では、再建に名乗りをあげる人もなく、A工場をなくす方向で進んでいた。

A工場は、Yさんの管轄外であったこともあり、A工場の状況は、机上でしか知り得なかった。このような状況の下、退職を目前に控えたYさんは、一念発起し、A工場の再建に名乗りを上げる。

YさんがA工場を初めて訪れた際、社員の様子を一目して、A工場の業績不振の理由が直ぐにわかった。そこには、全くコミュニケーションがなかったのである。当時役員であったYさんが、同社のA工場や現場に足を運んでも、誰一人として、「お疲れさまです。」と声を掛ける者はいなかった。

Yさんは、「社員のみんなが、何が楽しくて仕事をしているのか全く理解できなかった。日々黙々と与えられた仕事をこなし、帰ってから何か楽しみがあったのだろうか…全くもって社員同士の会話がなく、覇気もなかった」と振り返る。

このような状況の下、Yさんは、社員一人ひとりに朝の挨拶をすることを決意する。工場の仕事は早朝から始まり、朝4時に出社する社員のために、Yさんの朝3時に出社する日々が始まった。

朝3時に出社したYさんは、社員一人ひとりに「おはよう!」と声を掛ける。社員の中には、現場で一日過ごすものもあり、Yさんは毎日現場に出向いて現場の社員にも「おはよう!」「お疲れさま!」と声を掛ける。しかし、Yさんに応える社員は誰一人としていなかった。

この挨拶活動をはじめて、約半年。社員の中には挨拶に対して軽く頭を下げる等、少しずつYさんに応える者が出てきた。しっかりと挨拶をするようになったのはいつからだろうか。再建に取り掛かり、1年が経つ頃には、全員が挨拶をするようになった。

 あいさつさて、これで何が変わったのだろうか。挨拶を交わすようになった社員は、お互いにコミュニケーションを取り合うようになり、社内 の”風通し”がみるみるよくなっていった。そして、社員同士笑い合う様子も見かけるようになった。それと同時に業績もぐんぐんと回復し、数年間続いた赤字が僅か3年で億単位の黒字へと転じた。そこで、Yさんは『自分の務めは終了!』と自ら会社を去ることとなる。

  この事実は、『あいさつ』が、人の心を変え、習慣を変え、行動までを変える力を持つことの証明ではないだろうか。

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